2013年03月22日

【オンライン法務部メールマガジン】2013年3月号/第9号/[職務発明〜従業員が創作した知的財産に関する取扱の留意点〜]


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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2013年3月号 第9号 
テーマ [職務発明〜従業員が創作した知的財産に関する取扱の留意点〜]
発行 オンライン法務部
http://www.olld.jp/
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[1] メルマガ第9号のご挨拶
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 皆さんこんにちは。ここ何日かで一気に春が到来したという感じがいたします
が、ビジネスの面では年度末を迎えるなどで、ご多忙・ご活躍のことと存じます。

 各士業の専門性と経験とを生かしたワンストップサービスを展開しているオン
ライン法務部からのメルマガをお送りいたします。

 今回は、従業員が創作した知的財産に関する取り扱いに関する規定について解
説します。


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[2] 職務発明〜従業員が創作した知的財産に関する取扱の留意点
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1 職務発明に関する規定を設けましょう
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 会社の従業員がある発明をしたとします。この発明について特許権者となるの
は、会社でしょうか、それとも発明者でしょうか。特許出願をする際に、願書に
発明者と特許出願人とを記載しなければなりません。このうち、特許出願人が将
来特許権者となります。

 では、誰が特許出願人となるのでしょうか。答えは、特許を受ける権利を有す
る者、つまり原則として、発明者が特許出願人となります。このことは、企業経
営者が大きく誤解している点であると考えられます。

 従業員がその従業員の業務に関して発明をした場合、従業員が特許権者になる
のでは、企業はやっていけないと考えられるかもしれません。この点について特
許法は、従業員が特許権者となったとしても、原則として企業はその発明を実施
できるとしています(特許法35条1項)。しかし、特許権者は自由に特許権を
第三者に譲渡できます。そうであれば、従業員がその特許権を競合他社に譲渡す
るかもしれません。

 それでは、なぜ、大企業の出願は、特許出願人がその企業であって発明者では
ないのでしょうか。その答えは、大企業が、従業員が将来発明をした場合にその
発明についての特許を受ける権利を企業に譲渡する旨の契約(予約承継契約)を
全ての従業員と締結しているからです。そして多くの場合、勤務規則に職務発明
に関する規定が設けられています。他方、このような職務発明に関する予約承継
を定めた契約がない限り、従業員がした発明は、原則として従業員のものといえ
ます。

 上記のとおりですので、会社を安定して運営するためにも、職務発明について
予約承継契約を設けることが重要といえます。


2 発明の取り扱いについて従業員と協議して議事録を残しましょう
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 上記のような職務発明を予約承継する規定が勤務規則にある場合、従業員が将
来発明を創作した際には、特許を受ける権利が会社へ譲渡されます。会社に特許
を受ける権利を譲渡する代わりに、従業員に与えられるのが、「相当の対価」を
請求する権利(特許法35条3項)です。

 この相当の対価について、会社と従業員とで対価を決定するための基準などに
ついて適切に協議がなされ、対価の基準を開示し、対価の額を決めるに際して従
業員から適切に意見を聴取し、不合理でない取り決めを行うことが必要となりま
す。上記の協議を行った際には、適切な手続を行ったことを証明できるように、
従業員全員又は従業員の代表の方の押印を得た議事録を残しておくことが望まし
いといえます。なお、会社側が従業員に対して行う手続きについては、特許庁か
ら手続事例集が出されていますので、参考になります。


3 譲渡証を作成しましょう
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 上記のとおり職務発明規定があっても、発明者との間で特許を受ける権利を会
社に譲渡したか否かについてトラブルとなる場合があります。このようなトラブ
ルを避けるためにも出願の際又は出願後に発明者全員と会社との間で特許を受け
る権利を譲渡したことを明確にするための譲渡証を作成することが望ましいとい
えます。そして、日本での特許を受ける権利のみならず、外国についても特許を
受ける権利を譲渡する旨の譲渡証を作成しておくことが望ましいといえます。

 例えば、国際出願(PCT出願)を行った場合、通常国際出願から1年6ヶ月
(長いケースでは2年6ヶ月)後に各国へ申請を行います。その際には、特許を
受ける権利を譲渡したことを示す譲渡証がそれぞれの国について必要となる場合
があり、通常は各国の代理人が各国毎に譲渡証を準備します。しかし、それぞれ
の国に申請を行う際には、発明者が退職してしまっている可能性があります。で
すから、上記の国内用の譲渡証とあわせて、外国についても特許を受ける権利を
会社へ譲渡した旨の譲渡証を英文で作成しておくことは有益といえます。

             (執筆 廣瀬国際特許事務所 所長
                       弁理士 廣瀬隆行)
                 URL  http://www.hirosepatent.jp/

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