2013年04月27日

【オンライン法務部メールマガジン】2013年4月号/第10号/[種類株式(基礎編)]


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技術系・ITベンチャーの実務に役立つ法律・知的財産情報
2013年4月号 第10号 
テーマ [種類株式(基礎編)]
発行 オンライン法務部
http://www.olld.jp/
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[1] メルマガ第10号のご挨拶
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 皆さんこんにちは。読者の皆さんの中には、新年度を迎え、新たな部署に移動
したり、新事業を始めたり、起業したりなどチャレンジングな毎日を送っておら
れる方も少なくないと思います。

 各士業の専門性と経験とを生かしたワンストップサービスを展開しているオン
ライン法務部からのメルマガをお送りいたします。

 今回は、ベンチャー企業が資金調達上の活用の上で知っておいて損はない、種
類株式について、基礎的な知識から分かりやすく解説します。


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[2] 種類株式(基礎編)
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1.資金調達における種類株式の活用

 ベンチャー企業が資金調達をする場合、会社が株式を発行し、その対価として
出資をしてもらう形が一般的ですが、その際に発行される株式には、いわゆる
「普通株式」のほか、「種類株式」を活用するケースもあります。

 例えば、会社の規模が小さい段階で、ベンチャーキャピタル(VC)から
多額の出資を受けるような場合に、現経営者の持株割合が著しく減少して支配力
が弱まることを防ぎ、かつVCに対しては投資回収の手段を確保する方法として、
1株当たりの株価を従来の株式より高額に設定してVCの持株数を抑えつつ、
利益配当と残余財産の分配について優先的地位を与えるような種類株式を発行し、
経営者の支配力の維持と資金調達の確保を両立させる
という方法が取られることがあります。


2.種類株式とは

 会社法上、株主には、主に(1)剰余金の配当(いわゆる利益配当)を受ける
権利、(2)残余財産の分配を受ける権利、(3)株主総会における議決権が認
められており、それぞれの権利は持株数に応じて平等に認められるのが原則です。
しかし、会社の経営上や運営上、その権利内容に多様性を認める要請があり、機
動的な資金調達を可能にするニーズなどから、以下の事項について内容が異なる
複数の種類の株式を発行することが認められています。
 (@)剰余金の配当(利益配当)
 (A)残余財産の分配
 (B)株主総会において議決権を行使することができる事項(議決権制限
   株式)
 (C)譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要
   すること(譲渡制限株式)
 (D)当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を
   請求することができること(取得請求権付株式)
 (E)当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたこと
   を条件としてこれを取得することができること(取得条項付株式)
 (F)当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によって
   その全部を取得すること(全部取得条項付株式)
 (G)株主総会・取締役会等において決議すべき事項のうち、当該決議の
   ほか、当該種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議が
   あることを必要とするもの(拒否権付株式)
 (H)当該種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締
   役又は監査役を選任すること(取締役・監査役選任権付株式)

 そして、これらの種類株式を発行するにあたっては、必要事項を定款に定め、
その内容を登記する必要があります。

 なお、株式会社が種類株式を発行する場合、上記9種類の事項のうちの1項目
ずつを種類株式の内容として定めるのではなく、1つの種類株式に9種類の事項
を複合的に定めるのが一般的ですが、それ以外の事項を種類株式の内容として定
めることは原則として認められていません。


3.株主についての属人的な定め

 種類株式は、その株式の内容について差異を設けるもので、その株式を有する
株主の個性は重視されませんが、発行する株式のすべてが譲渡制限株式である会
社においては、株主の個性に着目して、上記(1)から(3)の権利について株
主ごとに異なる扱いをするような定款の定めも可能とされています。

 例えば、(1)や(2)の権利では、株主は持株数に応じて剰余金の配当や残
余財産の分配を受けられるのが原則ですが、持株数ではなく頭数に応じて株主全
員が同額の配当を受ける旨を定めることもできるということです。

 この定めは、株式に着目したものではないため、種類株式には該当せずに、登
記事項にもなりませんが、実質的には種類株式と同様に考えられるため、種類株
式とみなして一定の規定が適用されることになります。


             (執筆 司法書士松田事務所 代表
                       司法書士 松田 敏明)
                 URL  http://www.mtd-law.com/

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